■ 企画展・イベント

イベント

 

ネットで短歌 ~結果発表~

nettanka-04-02

 

2017 年春 実施分

 

te-ma
「若葉」または自由

 

gurannpuri
 1首 図書カード 5000円分



  丸本 萌さん(22歳)大阪府

kin
 研究室閉めきった窓絵葉書の若葉をみつめほっと息つく
kin

【選評】

実験のために、あるいは思索を深めるために、日常とはいろいろな意味で少し離れたところにある研究室。そんな閉じられた空間で日々研究に邁進する作者の、ひとときのバーチャル森林浴。絵葉書の若葉にほっと息をついた作者自身もまた、ひかりを浴びてつややかに成長する若葉のようです。爽やかな風を運んでくれる、この季節らしい素敵な歌ですね。


jyun
5首 図書カード 3000円分



  石山真太郎さん(22歳)岡山県

gin
 ネクタイを結び始める我のあり庭の若葉に陽が射しはじむ
gin

【選評】

就職活動、あるいは新社会人として特別な春を迎えた作者。緊張感が感性をも研ぎ澄ますのでしょう。庭の若葉に陽が射しはじめる瞬間を、丁寧にすくいとりました。人は、自分の気持ちに近いものに視線が向かうものです。ネクタイを結び始めた作者もまた、若葉のようにはつらつとしていることでしょう。



  松岡拓司さん(46歳)埼玉県

gin
 雨あがり一足とびに来るひかり若葉よ夏へ尖りし影よ
gin

【選評】

雨がさっとあがり、急に陽が射してくる。さっきまでの暗い空と打って変わった青空から、ひかりがあふれる。しずくの残る若葉の下には、くっきりとした影ができる。映画のワンシーンのような、鮮やかな場面を切り取った歌。「若葉よ夏へ尖りし影よ」の畳みかけるような詠嘆が効いています。



  平井かよ子さん(19歳)東京都

gin
 馬鹿だなあ告白なんてしたらもうこの妄想は終わってしまう
gin

【選評】

告白する前は、台本は自分の思い通りに書けるし修正もできますね。でも、告白したとたん、相手のセリフを妄想する楽しみはなくなり、思ってもみなかったセリフが飛び出すこともあるでしょう。それでも、一歩進むことが妄想より素敵だと気づいてしまったんですね。作者の「馬鹿だなあ」に、きゅんとくる歌。



  碧井文果さん(58歳)福岡県

gin
 野で摘んだうす紫の花を問う君の残した植物図鑑
gin

【選評】

名前はわからないけれど、美しくて可憐で、思わず摘んできた野の花。うす紫色の花びらを手掛かりに、植物図鑑で調べるのは結構大変です。でも、作者の植物図鑑は「君」が残してくれた、特別な図鑑なのですね。もしかすると、「君」と一緒に見たことのある花なのかもしれません。「時」を感じさせてくれる一首。



  田中亜紀子さん(45歳)三重県

gin
 青空に誘われ歩く昼下がり若草若葉我も華やぐ
gin

【選評】

一年で一番気持ちのいい春の昼下がり、青空ならお散歩に誘われている気分になりますね。下句の「わかくさ・わかば・われ」で「わ」の韻が3回踏まれ、同じく下句の14音中10個もの「A」音が使われており、作者の華やいだ気持ちがハッキリと伝わります。読み手の気持ちも華やいでくる一首です。


 

 

ご応募、誠にありがとうございました。

 

 

協力・選評 与謝野晶子倶楽部 運営委員 勺 禰子