有名人であるが故に
晶子さんは最初の歌集『みだれ髪』の頃から話題の人となり、世間から注目を浴び続けました。芸術家の多くは没後に評価されることが多いですが、晶子さんは生前から有名人となり「時の人」として、新聞紙上での婦人相談に載ったり取材を受けたりすることが多くありました。
一見華やかに見えますが、実際は、晶子さんの想いと裏腹に苦労の連続でした。例えば、見知らぬ人から歌の添削や揮毫依頼の手紙が数々送られ、返事が遅れるとその催促の手紙が絶えず送られてきたり、見ず知らずの人の詩集の序文を依頼されたりするなど、有名人であるが故の苦労がありました。